今回のコラムでは、自宅の売却後も住み続けることができる「リースバック」をテーマに、特徴やメリット・デメリットを紹介していきます。
リースバックは、実行することをおすすめできる人が限られるサービスです。現在、リースバックの利用を検討している方は、ぜひご自身のケースと照らし合わせてご覧ください。
リースバックは売却した自宅に借主として住み続けられるサービス
リースバックとは、自身が所有している住宅を不動産会社に売却したのち、自身が借主として家賃を支払いながら住み続けられるサービスのことです。売却して得た代金は一括で支払われますので、まとまったお金が必要な場合の1つの手段となります。不動産会社が直接物件を買い取るため、現金化が早い点や、売却後に引っ越しが不要な点が大きな特徴です。また、売却後は不動産会社が所有者になります。
リースバックの5つのメリット
リースバックを行うことのメリットには、主に以下の5つが挙げられます。
売却後もそのまま住み続けられる
リースバックの一番のメリットは、物件の売却後も住み続けられることです。子どもが小学校を卒業するまでは引っ越しをしたくない、高齢で新たな賃貸契約を結ぶのが難しい、介護施設に入居するまでの数年間だけ住み続けたいなど、引っ越しをしたくない事情がある場合には有効な手段となります。また、引っ越しをしないので、基本的には自宅を売却したことが周りに知られることはありません。
現金化が早い
リースバックにおける物件の売却先は不動産会社です。通常の不動産売却と異なり、不動産会社に仲介をしてもらって一般の買い手を見つけるという作業が不要なため、早ければ数週間で自宅を現金化できます。
売却して得たお金の使い道に制限がない
リースバックでは売買契約と賃貸借契約の2つを同時に行います。しかし、自宅の売却で得たお金を家賃に充当するといった契約ではないため、売却で得たお金をどのように使うかは売主の自由です。
賃貸なので固定資産税や管理費・修繕積立金がかからない
自宅の売却後、所有権は不動産会社に移ります。これまで通り住み続けられる点は同じですが、その立場は所有者ではなく借主です。そのため、所有者であるときに発生した固定資産税、マンションであれば管理費や修繕積立金の支払いは不要になります。
将来的な買い戻しが可能
リースバックでは、将来的な買い戻しが可能な契約となっていることがあります。
一時的にお金が必要になったが、今の家が気に入っている場合などにはメリットになります。
リースバックの5つのデメリット・注意点
リースバックには、知っておきたいデメリットや注意点が多くあります。
買取価格が相場よりかなり安い
不動産を売却する方法には、仲介での売却と、不動産会社が直接買い取る不動産買取の2つがあり、リースバックは不動産買取の一種です。通常の不動産買取は不動産会社が買い取ったあとに物件をリフォームし、一般市場で売却します。この際、不動産会社が利益をのせて売却するので、仲介で売却するよりも売却価格が2~3割ほど安くなります。
そして、リースバックの場合は、不動産会社が買い取ったあとに一般市場に売りに出されるのではなく、基本的には不動産会社がそのまま物件の貸主として管理を続けます。物件を所有することで発生するリスクを不動産会社が負うことになるため、通常の不動産買取よりもさらに安い価格での買い取りとなる傾向があります。現金化が早い点に魅力があるものの、その金額には期待できない点はリースバックの最大のデメリットです。
売却価格よりも住宅ローンの残債が大きいと実行できない
自宅を購入する際、多くの方が金融機関で住宅ローンを組んでいます。住宅ローンは、購入する物件を担保にお金を借りるものなので、物件を売却するにあたっては住宅ローンの完済が必要になります。これは売却後にそのまま住み続けるリースバックでも同様です。
住宅ローンの完済は、リースバックで得た売却代金や貯蓄などを充当しても問題ありません。しかし、リースバックで得られる金額は、相場よりも小さくなるため、住宅ローンを組んだばかりで残債が多い場合には、リースバックをするのは厳しいでしょう。
家賃は相場より高くなりがち
リースバックを行おうとする人は、売却金額が少なくてもその家に住み続けたい人です。そのような状況であることから、売却後に住み続けるための家賃は相場よりも高くなってしまうことが一般的です。また、賃貸借契約には2年や3年といった期間が設けられています。契約の更新時には更新料の発生や、家賃がさらに高くなってしまう可能性もあります。
買い戻し価格は売却した価格より高い
一旦売却してリースバックにしたのち、将来的な買戻しは可能なものの、買い戻すための価格は買い取られた金額(売却した金額)よりも高くなるのが一般的です。そのため、買い戻したくても買い戻せないといった状況が続いてしまうことも少なくありません。
契約によっては立ち退きさせられる恐れがある
賃貸借契約が「普通借家契約」ではなく、「定期借家契約」となっている場合、契約期間が満了したら基本的に更新ができません。そのため、住み続けようと思っていたのに立ち退きせざるを得ない状況になる恐れがあります。
リースバックが向いている人=引っ越したくないが一時的にまとまったお金がほしい人
金額的にはデメリットの大きいリースバックですが、場合によってはリースバックを行うのが適していることもあります。リースバックの大きな特徴は、その家に住み続けられることです。そのため、リースバックが向いている人は「引っ越したくないが、一時的にまとまったお金がほしい人」となります。
例えば、以下のような2つのパターンが挙げられます。
現在は住宅のローンの支払いが厳しいが、近い将来まとまったお金が入る
収入が一時的に下がったりなくなったりしたことが原因で、住宅ローンの支払いが厳しい場合、引っ越しや新居での家賃を支払うことも困難なケースがほとんどです。一時的に厳しい状況にあるものの、近い将来にまとまったお金が入る予定があるのなら、リースバックを検討する価値はあります。
しかし、買い戻しまでの期間は家賃が発生しますので、買い戻しまでが長引くと支出が大きくなってしまいます。買戻しまで時間がかかるようならリースバックではなく、不動産買取を利用し、そのお金を元手に引っ越しを行う方が金銭的には余裕が生まれるでしょう。不動産買取なら、リースバックと同様に現金化がすぐにできるだけでなく、得られる金額も大きくなります。
高齢者施設に住み替えるまでの仮住まいにする
自身や配偶者が高齢になり、高齢者施設への住み替えを検討するも満室ですぐには住み替えができない、また高齢者施設の入居には初期費用としてまとまったお金が必要、といった場合には今の暮らしを続けながらタイミングを計れるリースバックが向いています。高齢者の場合は、新たに住居を借りることが難しいことも多いので、リースバックが有効な選択肢になるでしょう。
リースバックが向いていない人=今の家に固執する必要がない人
一方で今の家に固執する必要がなく、引っ越しをしても問題がないという場合には、リースバックは向いていません。仲介での売却では、売り出しから買い手を見つけるまで平均して3か月ほどかかりますが、その分相場に沿った適正価格で売却できますし、買い手がつきづらい場合でも最大で1割程度の値下げに収まることが多く、不動産買取やリースバックよりは高値での売却が可能です。
また、引っ越し資金などが用意できない場合でも、リースバックではなく不動産買取を行えばすぐに現金化でき、そのお金をもとに引っ越しができますので、あえてリースバックを選ぶ必要がありません。
まとめ
リースバックは引っ越しをせずそのまま物件に住み続けられるメリットがあるものの、売却価格が相場よりもかなり安くなるという大きなデメリットがあります。やむを得ない事情でリースバックを選ぶ場合には、リースバックでの売却価格や、仲介や不動産買取での売却価格を比較し、納得をした上で実行することをおすすめします。
リースバックはどの不動産会社でも対応しているわけではないので、信頼できる専門家にサポートを依頼しましょう。
豊島区・板橋区・埼玉県の不動産売却・買取は地域密着の株式会社カラーズハウスがサポートいたします。
リースバックはもちろん、住み替え、相続、離婚、任意売却などについてお悩みがあればお気軽にご相談ください。