相続により空き家となってしまった住宅を売却する際、「住宅を残して現況のまま売却する」「更地にして土地だけを売却する」2つのパターンがあります。また、売却して利益が上がった場合には税金の支払いが発生することもあります。
今回の記事では、空き家を売却する際のポイントや、売却時の税金を抑える方法について解説します。これから空き家の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
空き家=相続した後に誰も住んでいない住宅と土地
空き家には、相続したが誰も住んでいない家、自身が引っ越しをするので誰も住まなくなる家など、さまざまな捉え方があります。今回の記事では、後述する税金控除の関係から、親から相続した家を空き家として説明します。
空き家を売却する2つの方法
空き家売却においては、現況のまま住宅を残して土地とセットで売却するか、住宅を取り壊して更地にして土地だけ売却するかの2つの方法があります。それぞれの特徴について確認していきましょう。
住宅を残して空き家を売却
住宅をリフォームしたり取り壊したりするのには費用がかかりますので、可能であるならば住宅を残したまま空き家を売却するというのが基本の方法となるでしょう。住宅を残すかどうかの判断は「買い手が住宅を再利用できるかどうか」がポイントになります。
住宅が古くて購入後に更地にしなくてはならない、大規模なリフォームが必要で、新たに住宅を建てるよりもかえって費用が大きくなるなどの買い手側にデメリットがある場合は、買い手がつきづらくなります。費用を抑えるために住宅を残す、と判断しても、買い手がつかなければ固定資産税や維持費ばかりがかかり、マイナスの資産となってしまいます。住宅を残すかどうかは、買い手の立場になって検討する必要があるでしょう。
住宅が再利用できるかを判断するためには、専門家である不動産会社の意見が必要です。住宅を訪問査定してもらい、住宅がそのまま利用できるか、軽微なリフォームで事足りるかといったことを確認してもらいましょう。
不動産会社には、賃貸・売却・買取など、それぞれに得意分野があります。空き家の売却においては、中古戸建ての売却を得意とする不動産会社に仲介を依頼し、売却活動をすすめることをおすすめします。
更地にして土地だけ売却する
残っている住宅部分を取り壊し、更地にして売却する方法は、買い手がつきやすくなるメリットがあるものの、取り壊し費用がかかってしまう点がデメリットになります。解体費用は建物の構造により異なり、木造なら1坪あたり3~5万円、鉄骨造なら5~7万円、RC(鉄筋コンクリート)造なら6~8万円が目安です。
また、前面道路が狭く重機が入れない場所や、隣接した住宅と距離が近い場所など、解体工事がしにくい場合は、費用が高くなります。
住宅の再利用が難しく、解体せざるを得ない場合には、売却して得たお金で取り壊しすることを契約に盛り込む、不動産会社に直接買い取ってもらう不動産買取を利用するといった方法があります。
空き家を売却して利益が出た場合は税金を抑える特別控除を活用しよう
空き家を売却して利益を得た場合、所得税が発生します。しかし、所得税は売却して得た金額そのものにかけられるのではなく、そこから不動産会社に支払う仲介手数料などの経費や、条件付きで適用される特別控除を差し引いたものに対して一定の税率でかけられます。
空き家の売却益に対して使用できる特別控除を「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」といいます。これを適用させることで、親から相続した空き家を売却した場合に得た利益(譲渡所得)から3,000万円を控除することができます。つまり、売却して得た利益が3,000万円以内なら、税金がかからなくなるというわけです。
◆被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例の主な適用条件
・昭和56年5月31日以前に建築された建物であること。
・相続の開始があった日から3年目の12月31日までに売却すること。
・相続から売却まで空き家であること。
・売却金額が1億円以下であること。
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の拡充と延長
この特別控除は、2023年までのものでしたが、4年間延長され、2027年12月31日まで適用可能になりました。
また、従来は売却にあたって空き家が耐震基準を満たさない場合には、取り壊して更地として売るか、住宅を残して売却するなら耐震改修工事を売却前に売主が行うことが特例の適用条件となっていました。
しかし、2024年からは、「買い手が」譲渡の日の属する年(空き家を購入した年)の翌年2月15日までに耐震改修又は住宅を取り壊して更地にする工事を行った場合にも適用対象となるように制度が拡充されています。
耐震改修や更地にする工事を買い手側が行ったとしても特例が適用されるようになり、売主は控除を受けやすくなりました。
参考:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、自身が住んでいる(住んでいた)マイホームを売却した際の特別控除「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と併用は可能ですが、同じ年に売却した場合は、合計で3,000万円の控除となり、6,000万円の控除とはならない点には注意が必要です。
まとめ
空き家売却では、住宅がまだ利用できるか否かの判断がポイントになります。また、特別控除が受けられる特例が法改正されたばかりということもふまえると、詳しい担当者でないと控除要件を満たさない売却になってしまう恐れがありますので、信頼できる専門家にサポートを依頼してください。
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