不動産を仲介で売却するにあたって、不動産会社と媒介契約を結ぶことになります。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
今回の記事では3種の媒介契約の特徴と、それぞれどのような人が選ぶべきなのか、また選ぶ際の注意点について解説していきます。
不動産の売却方法:仲介or買取
不動産の売却方法には、不動産会社に仲介をしてもらって一般の買い手を探す方法と、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があり、前者を不動産仲介、後者を不動産買取といいます。
不動産買取は、早く現金化したい場合や、なかなか買い手が見つかりづらそうな古い物件・立地の悪い物件を売却する場合に適した方法です。
しかし、不動産買取は相場よりも2~3割安い価格での売却となるため、時間に余裕がある場合には不動産仲介での売却を検討するのがおすすめです。
不動産仲介には3種類の契約方法がある
不動産会社に仲介してもらい買い手を探す不動産仲介を行う際には、買い手は不動産会社と仲介のための契約を結びます。この契約のことを媒介契約といい、媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれの特徴について確認していきましょう。
一般媒介契約の特徴:複数業者と契約できる
一般媒介契約は、複数の不動産会社と同時に結ぶことができる点が特徴です。不動産会社は売却成立時に、買い手から支払われる仲介手数料を収入源としています。一般媒介契約の場合は、複数の不動産会社と契約できる点にメリットがありますが、買い手側はどの不動産会社を通して購入するかは分かりませんし、売主も自社を通して売却してくれるとは限りません。
そのため、買い手を見つけるためには広告宣伝が重要となるものの、それにお金をかけて宣伝したところで、他社を通して売買が成立してしまうと仲介手数料が得られず、かけた広告宣伝費がまるまる損失になってしまうリスクが不動産会社にあります。それを防ぐため、各不動産会社は一般媒介契約の場合は、売却についてあまり本腰を入れてくれない傾向があります。
また、売り出す不動産は、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報システムの「レインズ」というサイトへ登録され、どの不動産会社からも閲覧できる状態にし、広く問い合わせを受けられるようにするのですが、一般媒介契約の場合は、レインズへの登録が義務ではありません。また、売却についての活動報告も任意となるので、買い手側からアクションを起こして進捗を確認するといった行動が必要になります。
複数の不動産会社と契約できるとはいっても、不動産売却が初めての方や慣れていない方の場合は、それぞれの不動産会社とこまめにやり取りをすることは大きな負担となるでしょう。一方で、不動産売却の経験者や、不動産が人気のエリアにあり熱心な宣伝をしなくても買い手が見つかりやすいといった場合には、一般媒介契約も検討してみてもよいかもしれません。
専任媒介契約の特徴:1社のみ・レインズ登録・報告義務あり
専任媒介契約は、仲介での売買の場合に最も多い契約パターンです。
レインズの7日以内登録義務や2週間に1回以上の活動報告義務が発生します。専任媒介契約と、後述する専属専任媒介契約は、1社としか契約を結べません。また、その1社以外と一般媒介契約を結ぶという方法もできません。そのため、不動産会社選びが重要になります。
一方で、1社のみとの契約なので、窓口を1つにできる点はメリットと言えるでしょう。
専属専任媒介契約:1社のみ・レインズ登録・報告義務あり・自己発見取引不可
専属専任媒介契約は、レインズへの登録義務が5日以内、活動報告が1週間に1度以上の契約です。専属専任媒介契約の最大の特徴は、一般媒介契約や専属専任媒介契約では可能だった「自己発見取引」ができない点にあります。自己発見取引とは、売主が自ら買い手を見つけて直接売買契約を結ぶことで、仮に自身の親戚などから買い手を見つけても、専属専任媒介契約の場合は、不動産会社を通して売買契約を結ばなくてはなりません。
専属専任媒介契約は、専任媒介契約と比べると自己発見取引ができない点がデメリットです。専任媒介契約の、2週間に1度以上の活動報告はあくまで義務の内容なので、お願いすれば1週間に1度の活動報告をしてくれる不動産会社もあります。
そのため、あえて専任媒介契約ではなく専属専任媒介契約を結ぶメリットはあまりないと言えますが、自身で買い手を探すつもりがない、週1以上の報告が義務となっている方が安心できるといった場合は専属専任媒介契約でも問題はないでしょう。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数業者との契約 | 可 | 不可 | 不可 |
レインズへの登録義務 | なし | 契約後7日以内 | 契約後5日以内 |
契約期間 | 任意 | 3か月 | 3か月 |
業務の報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
自己発見取引 | 可 | 可 | 不可 |
売却活動への本気度 | 低 | 高 | 高 |
良い不動産会社・良い営業担当を選ぶために「囲い込み」を見極める
不動産売却においては、良い不動産会社を選ぶのが重要です。また、売却活動への熱意は担当者によっても異なりますので、不動産会社選びと同時に、良い営業担当との出会いも重要になります。
不動産売却を一任する上で、良い不動産会社・営業担当を見分けるポイントの1つとなるのが「囲い込みされていないかを見極める」ことです。囲い込みの手口について知り、対策できるようにしてください。
囲い込みとは
仲介で不動産を売却する際、売主に不動産会社がついているのと同様に、買い手側にも不動産会社がついています。仲介手数料は売却時にも購入時にも発生するので、不動産会社はできることなら売主も買い手も自社が仲介し、両方から仲介手数料を得たいと考えています。そのような状況を両手取引といいます。
両手取引自体は違法ではありません。そして、悪質な方法で両手取引を狙うことを「囲い込み」といいます。囲い込みの手法には、例えば「他社経由で内覧希望者があった場合は商談中と言って断る」などがあります。
1社だけなのに一般媒介契約をすすめてくる場合は注意しよう
一般媒介契約は、複数の会社と結べるので囲い込みが発生しません。しかし、近年では、「ウチに任せてください」といって一般媒介契約をすすめてくるパターンがあります。一般媒介契約は複数の会社と結べるので不動産会社にとってはリスクがあり、一般的には専任媒介や専属専任媒介を結ぼうとするものです。
しかし、一般媒介契約であればレインズへの登録義務がないため、他の不動産会社に物件が売り出し中であることが知られません。それを利用して「ウチに任せてください」と自社とだけ契約を結ぶようにし、じっくりと自社で買い手を探すという囲い込みの手法があります。
結果的に売れるのならよいのではないかと思われるかもしれませんが、レインズに登録しないので売れるまでに時間がかかりますし、売れないことを理由に値下げを要求されるため、売り主にとってはメリットがありません。一方で、値下げをしても不動産会社は買い手からも仲介手数料を得られ、トータルでは得をしますので、この手法がひんぱんに行われています。
これを防ぐためには、媒介契約書において、1社としか契約しないのに一般媒介契約になっていないかを確認するようにしましょう。牽制の意味で「片手取引でも売ってくれますか?」と聞いてもみるのもおすすめです。
まとめ
不動産売却では高値での売却、短期間での売却のためには信頼できる専門家に依頼することが最重要とも言えます。
豊島区・板橋区・埼玉県の不動産売却・買取は地域密着の株式会社カラーズハウスがサポートいたします。
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