不動産売却　全般

現在の自宅を売却して新居を購入する「住み替え」のポイント

2024.07.13

転勤や引っ越し、ライフステージの変化などを理由に、現在の自宅を売却し新たに不動産を購入する「住み替え」を検討することになるケースは多くの方にあります。

自宅の「売却」と新居の「購入」について同時進行で考えなくてはならない住み替えは、行うにあたって知っておきたいポイントがあります。

今回のコラムでは、住み替え時の売却と購入の順番や不動産会社選びのポイントについて解説していきます。

住み替え時には、まず「自身の今の家の価値」を把握しよう

現在の自宅を売却し、新居を購入する住み替えにおいては、「今の家がいくらで売れるか」を意識することが非常に重要になります。なぜなら、住宅ローンを組んで購入した不動産を売却する際には、売却と同時に住宅ローンの完済が必要になるからです。

自宅を売却して得られる資金や、その他の貯蓄などを充当してもローンが完済できない場合は、競売や任意売却の例外を除いて、売却することはできません。

自宅の売却により、住宅ローンが完済できる状態をアンダーローン、完済できない状態をオーバーローンといいます。自身がアンダーローンなのかオーバーローンなのかを知るためには、不動産会社に査定を依頼し、現在の家の価値を確認することが必要です。

また、査定価格がそのまま売却価格になるとは限らないので、自身でも相場観を掴むことをおすすめします。

自身で相場を知る方法としては、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報システムの「レインズマーケットインフォメーション」を活用するとよいでしょう。

レインズマーケットインフォメーションでは、地域や沿線、駅からの距離、間取、土地面積、築年数などの条件をもとに、実際に売買が行われた物件の価格（成約価格）の閲覧ができます。

自宅と似た条件で検索すれば、大体の相場が把握できます。査定価格ではなく、最終的な売却価格が分かる点は大きく参考にできるでしょう。

参考：レインズマーケットインフォメーション

住み替え時に比較検討したい「売り先行」と「買い先行」

住み替えでは、先に現在の自宅を売って、そこで得た資金をもとに新居を購入する「売り先行」と、購入したい物件が見つかった段階で先に新居として購入し、その後に現在の自宅を売却する「買い先行」の2つの手法があります。

それぞれのメリットと注意点について確認しましょう。

売り先行のメリットと注意点

売り先行では、今まで通り自宅に住みながら、売却活動をするのが基本です。一時的に賃貸住宅を借りる選択肢もありますが、賃貸住宅に仮住まいしている間も月々の住宅ローンの返済は必要ですし、買い手が見つかるまで賃貸住宅に住み続けるのは金銭的負担が大きくなるため、おすすめはできません。

売り先行のメリットは、現在の生活を維持しながら売却活動を行えるため、新たな金銭的負担が発生せず、納得いく金額での売却のために時間をかけられる点です。新居探しや、新居を購入するための資金計画にも時間がかけられます。

一方で、「売れないと買わない」ことがそのままデメリットにもなり得ます。例えば、希望通りの良い物件が見つかったとしても、売却活動が進んでいなければ購入ができず、買い逃してしまいやすくなるでしょう。

買い先行のメリットと注意点

買い先行では、現在の自宅の売却活動状況によらず、自分が欲しい物件を好きなタイミングで購入でき、買い逃しの恐れがなくなる点がメリットです。購入後は新居に引っ越せば、古い自宅は空き家にでき、内覧の対応や引き渡しがスムーズに行えます。

一方でデメリットとしては金銭的負担が大きくなりやすい点が挙げられます。新居の購入にも住宅ローンを組むことになるので、古い自宅が売却できるまでは、古い自宅と住宅ローンと新居の住宅ローンのどちらも並行して返済し続ける必要があります。

古い自宅の住宅ローンの残債と、新居の住宅ローンをまとめる住み替えローンを利用する方法もありますが、借り入れる総額が大きくなりますし、住み替え時の年齢によっては返済期間が短く、月々の負担金額が大きくなりやすいため、おすすめはできません。

売り先行と買い先行には、どちらもメリットとデメリットがあります。金銭的な余裕があるのなら買い逃しのない買い先行の方が納得のいく住み替えができるでしょう。一方で、現在の自宅が立地や設備、築年数などの観点から買い手がつきやすい状況ではないのでなら、売り先行でじっくりと手堅く売却活動を行う方が適していると言えます。