擁壁やり直し費用を避けて売る方法|不適格擁壁の売却と免責特約
擁壁やり直し費用を避けて売る方法|不適格擁壁の売却と免責特

「擁壁(ようへき)のやり直し工事に数百万〜数千万円かかると言われた」「不適格擁壁があると売れないのか」と不安を抱えている方は少なくありません。
結論から伝えます。不適格擁壁があっても、工事をせずに売却できるケースは多くあります。 重要なのは、リスクを正しく把握し、買主へ適切に告知し、契約内容で責任範囲を明確にすることです。
この記事では、板橋区・川越市を中心に不動産売却を手がけてきた株式会社カラーズハウスが、「工事ありき」ではなく「売却設計ありき」の視点で、不適格擁壁物件の実務的な売り方を解説します。
不適格擁壁とは何か―「危険な壁」ではなく「書類上の問題がある壁」
不適格擁壁とは、現行の建築基準法・がけ条例・宅地造成及び特定盛土等規制法などの法令基準を満たしていない擁壁のことです。「危険な壁」と同義ではなく、「検査済証がない」「施工当時の古い基準で作られた」「現行法の強度・高さ基準を満たしていない」 という書類・法令上の問題を指します。
擁壁は、高低差のある土地の斜面崩壊を防ぐためにコンクリートや石積みで築かれた構造物です。高さが2mを超えるものは建築確認・検査済証の取得が必要とされていますが、古い住宅地には確認済証・検査済証が存在しない擁壁が多数残っています。
不適格擁壁として問題になりやすい状況は以下の通りです。
・高さ2m超の擁壁に確認済証・検査済証がない
・ひび割れ・はらみ・水抜き穴の詰まりなど劣化サインが見られる
・「がけ条例」の規制対象エリアに建つ建物
・建て替え時に擁壁の再築が条件となるケース
重要なのは、不適格擁壁=即解体・再施工が必要ではないという点です。現状で問題なく機能している擁壁であれば、適切な告知と契約設計で売却が成立するケースが多くあります。
やり直し費用の相場と「工事しないで売る」という選択
擁壁のやり直し工事にかかる費用は、規模や工法・立地条件によって大きく異なります。一般的な相場感は以下の通りです。
| 工事の内容 | 費用の目安 |
| 小規模補修 (ひび割れ注入・水抜き穴清掃等) |
10万〜50万円程度 |
| 部分的な積み直し・補強工事 | 50万〜200万円程度 |
| 高さ2m超・全面やり直し | 300万〜1,000万円超 |
| 大規模・特殊工法・隣地工事含む場合 | 1,000万〜3,000万円超 |
これほどの費用を売却前に負担するのは、多くの売主にとって現実的ではありません。
「工事しないで売る」ための選択肢は、決して「問題を隠す」ことではありません。 擁壁の状態を正確に把握し、買主へ事実を開示した上で、価格調整・告知・契約特約という三つの手段を組み合わせて売却を成立させることが、現実的かつ適法な方法です。
具体的には次のような流れになります。
1. 現状把握:役所確認・現地確認・設計図書の調査
2. 告知書の整備:物件状況報告書に擁壁の状態を正確に記載
3. 価格調整:工事費相当額を価格に反映
4. 契約特約の設計:契約不適合責任の免責・現況売買の特約を設ける
この流れを設計できる仲介業者に相談することが、最初の一歩です。
価格調整の考え方
工事費を売却価格に反映する場合、全額を値引きする必要はありません。現状のリスクに見合う調整幅を設定し、買主が「納得して購入できる価格」を設計します。たとえば、再築見積もりが500万円の擁壁でも、現状で安全上の問題がない場合は200〜300万円程度の価格調整で合意が取れるケースがあります。買主の属性(建て替えを予定するか、現状のまま居住するか)によっても、必要な調整幅は変わります。
一方、「工事費をそのまま引いてほしい」という買主交渉には応じない判断も重要です。工事費の全額負担は売主にとって過大な負担になることが多く、価格設定の段階でこの点を整理しておかないと、後から条件交渉が難航します。適正な調整幅の設定は、経験のある仲介業者との事前協議で決めておくべき事項です。
擁壁のある物件の売却について、まずは相談だけでも構いません。
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売却前に必ず確認すべき書類と現地チェックポイント
不適格擁壁のある物件を売却する前に、売主が行うべき確認作業があります。これを怠ると、後から「知らなかった」では済まない契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)のリスクが生じます。

確認すべき書類
・確認済証・検査済証:擁壁の建築確認・完了検査の有無を確認。ない場合はその旨を告知します。
・設計図書(構造図・配筋図):擁壁の構造が現行基準を満たすか確認するための資料
・地積測量図・境界確認書:隣地との境界線と擁壁の所有区分を明確にする
・固定資産税評価証明書・公図:土地の高低差・がけ条例の適用範囲の確認に使用
現地で見るべきポイント
・ひび割れ(クラック)の有無と幅:0.3mm超のひび割れは要注意
・はらみ・傾き:擁壁が膨らんでいたり、傾いている場合は強度低下のサイン
・水抜き穴の詰まり:排水機能が失われると土圧が高まり危険
・天端(上部)の状態:土の流出や空洞化がないか確認
・近隣・隣地との関係:擁壁が共有・越境・隣地所有になっていないか
板橋区・川越市では、がけ条例の適用範囲や盛土規制エリアの確認が特に重要です。各区・市の建築指導課や開発指導課での事前相談が、売却前の現状把握に直結します。
行政確認の手順(板橋区・川越市の場合)
売主が自分で行える行政確認の手順は以下の通りです。
1. 建築指導課での台帳確認:
当該擁壁の確認申請・検査済証の有無を照会。台帳に記録がない場合は「確認申請未提出」または「記録なし」として扱われます。
2. がけ条例の適用確認:
建物の敷地が「がけ(高低差2m以上)」に接する場合、東京都・埼玉県それぞれの条例に基づく建築制限がかかります。建て替え時に擁壁工事が条件となるケースも多いため、事前確認が必須です。
3. 宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)の確認:
2023年施行の改正法により、規制区域の確認が必要になった地域もあります。市区町村の担当課に確認することを推奨します。
4. 隣地・境界の確認:
擁壁が隣地との境界上に存在するケースがあります。この場合は所有権・管理責任の整理が必要です。越境や共有擁壁の場合は、売却前に覚書を取り交わすか、境界確定測量を行うことが望ましいです。
重要事項説明と契約不適合責任―売主が知るべき「告知の実務」
不適格擁壁がある物件では、重要事項説明と物件状況報告書への正確な記載が売主を守る最大の手段です。ここを曖昧にすると、引渡し後に買主から損害賠償を求められるリスクがあります。

重要事項説明に記載すべき内容
・擁壁の確認済証・検査済証の有無
・がけ条例・宅地造成等規制法の適用有無
・建て替え時の擁壁再築義務の可能性
・現地確認で確認できたひび割れ・劣化状況
物件状況報告書(売主告知書)のポイント
売主は「知っている事実」を物件状況報告書に記載する義務があります。ここで重要なのは、「わからない」「確認していない」も正直に書くことです。知っているのに隠していた場合は、契約不適合責任が問われます。
免責特約(現況売買特約)の活用
不適格擁壁を告知した上で、「擁壁については現況のまま引き渡し、引渡し後の補修・再築費用は買主負担とする」 旨を特約として契約書に盛り込むことができます。これを「現況売買特約」または「免責特約」と呼びます。
ただし、免責特約はあくまで「告知済み・合意済みの内容」についてのみ有効です。知っていたのに告知しなかった内容については、特約を結んでいても責任を免れません。告知→合意→特約の順番が重要で、ここを逆にしても法的な保護は受けられません。
また、買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関が不適格擁壁物件への融資を渋るケースがあります。この点も事前に想定しておく必要があり、買主属性(現金購入・資産家・建築業者など)の見極めも売却戦略の一部です。
「買取しかない」は誤解―仲介・買取・現況売却の比較と正しい選び方
不適格擁壁の物件を売ろうとすると、「こういった物件は買取しかないですよ」と言われることがあります。しかし、それは必ずしも正しくありません。

| 売却方法 | 価格 | 期間 | 向いているケース |
| 仲介 (現況売却+告知) |
市場価格に近い | 3〜6ヶ月程度 | 告知設計・特約整理ができる場合 |
| 買取 (業者直接買取) |
市場価格の60〜70%程度 | 数週間〜1ヶ月 | 早期売却・法的リスク回避優先 |
| リフォーム・補修後売却 | 高値期待できるが費用先行 | 半年〜1年以上 | 費用対効果が見込める場合のみ |
仲介での現況売却は、告知・特約・価格調整の三点セットが整えば十分に成立します。 買取は確かに確実性が高い反面、売却価格は大きく下がります。最終的にどちらを選ぶかは、売主の優先事項(価格か速度か)によって異なりますが、「最初から買取しかない」という前提は正確ではありません。
また、隣地との境界未確定・共有名義・越境物がある場合は、事前に覚書(おぼえがき)を取り交わすことで売却の妨げを排除できます。こうした交渉を含めた売却設計ができる仲介業者を選ぶことが、最終的な売却価格と安心感に直結します。
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【監修者より】代表・川野元基からのメッセージ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社カラーズハウス代表の川野元基です。
擁壁のある物件の売却相談は、「工事費が高すぎて途方に暮れている」という状況からスタートすることが多いです。しかし実際に整理してみると、書類と現地確認をきちんとやり、買主に正直に告知して、契約で責任範囲を明確にすれば、工事なしで売却が成立するケースは少なくありません。「不適格だから売れない」ではなく、「整理すれば売れる」。その整理を一緒にやるのが私の役割だと考えています。不安なまま放置する前に、まず一度ご相談ください。
株式会社カラーズハウス 代表取締役 川野元基|宅地建物取引士 / 全国不動産売却安心取引協会認定「おうち売却の達人」
擁壁トラブルを抱えた物件の売却は、正しい順番で整理すれば必ず出口があります。「売るかどうかまだ決めていない」「まず相場だけ知りたい」という段階でも、カラーズハウスへのご相談は無料です。板橋区・川越市を中心に、代表の川野が全案件を直接担当します。
代表の川野に直接メールで無料相談する 24時間受付:LINEで売却の悩みを手軽に相談する 板橋・川越エリアの物件を匿名・無料で査定する
株式会社カラーズハウス 代表取締役
川野 元基(かわの げんき)
プロフィール・保有資格:
株式会社カラーズハウス 代表取締役
センチュリー21フランチャイズ加盟店 在籍12年
全国不動産売却安全取引協会認定「おうち売却の達人」
NPO法人不動産売却SOS相談センター 元相談員
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士
1級建物アドバイザー / ホームステージャー2級
不動産写真マイスター
著書
メディア掲載
