2025.05.30 全般
< 2024年6月 >
26 27 28 29 30 31 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 1 2 3 4 5 6

認知症への備えとして注目されている家族信託について

2024年6月19日

財産は所有者のもので、たとえ配偶者や子どもであっても勝手に売買したり、処分したりすることはできません。それは、所有者が認知症になり、意思能力がなくなった場合でも例外ではありません。

今回のコラムでは、認知症への備えとして家族や近しい人に財産の管理を任せられる「家族信託」について、不動産をテーマにその特徴や注意点を解説します。

家族信託とは


家族信託とは、自身が持つ預金や不動産といった財産の管理権を、信頼できる人物に任せる(信託する)制度のことです。「家族信託」という名称ではありますが、財産の管理を任せる相手は、配偶者や子、親族に限らず、友人などでも可能です。両者の間で「信託契約」を締結することで効力が発生します。

財産の管理権だけを譲渡する

不動産の所有者は、不動産をリフォームしたり、設備を導入したりといった「管理権」と、所有や売却をすることで利益を得る「受益権」の2つを持っています。家族信託は、管理権と受益権のうち、管理権のみを家族や第三者に譲渡するものになります。

財産の管理権を譲渡するといっても、自身のあらゆる財産を対象にしなくてはならないわけではありません。不動産の管理権だけ譲渡し株式の管理権は譲渡しない、所有している複数の不動産のうちの一部のみの管理を任せるといったこともできます。また、いつから管理を任せるかも契約に盛り込める点も特徴です。認知症への備えとしては任意後見制度を利用する方法もありますが、これは本人に意思能力が失われることが、開始条件となっています。開始時期や契約内容を柔軟に決められるのが家族信託の特徴です。

管理権を持つ子が認知症の親のために不動産売却ができる

家族信託では、受益権は所有者本人に残ります。本来であれば管理権は所有者本人にあるので、たとえ親が認知症になって、介護施設に入れる資金調達のためであっても親の不動産を子が売却することはできません。

しかし、家族信託をしておけば、子は親のために親の不動産を売却して親の治療費や介護費用に充てられるようになります。これが、家族信託が認知症への備えとして注目される理由です。任意後見制度はあくまで「財産の維持」を目的とするものなので、不動産売却は難しいことがありますし、親の自宅を売却する場合には家庭裁判所の許可が必要になります。家族信託は、任意後見制度よりも財産管理において柔軟性の高いものといえるでしょう。

任意後見制度については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。